タイのチームを動かす数値の力│『数値化の鬼』から学ぶマネジメント実践

タイのチームを動かす数値の力│『数値化の鬼』から学ぶマネジメント実践

最近は本を読む習慣をつけようとしているのですが、その第1冊目として古本屋さんで手に取ったのがこの本。

安藤広大氏の著書「数値化の鬼」です。

私はなんでも数字が非常に苦手。しかし、そこを強くすることでもっと成長できるかもしれない。そう思い、読んでみることにしました。

文字がそこまで多くないため、サクサクと読み進められ、あっという間に読み終わることができたとともに「この思考はタイでのチームマネジメントでも十分活かせる内容だ」ということに気が付きました。

今回の編集部コラムは「数値化の鬼」の読書感想文です。

感想を踏まえたうえで、「数値化」はタイでのチームマネジメントにどうすれば落とし込んでいけるのかという点を考えてみました。

数値化の鬼はどんな本?

『数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』は、株式会社識学の社長を務める安藤広大氏が、ビジネスにおける最重要スキルとして「数値化」を説いた一冊です。

「今月は営業をすごく頑張りました」ではなく、「今月は先月より10件多く訪問しました、その結果、受注が2件プラスになりました」と報告する。そうした具体的な思考習慣の積み重ねが、仕事の質を大きく変えると本書は主張しています。

数学や会計の話ではなく、日常の仕事における「数字」との向き合い方を教えてくれる内容で、プレーヤーからマネージャーまで幅広く学びを得られるでしょう。

具体的には、行動量を増やすことの重要性、数値のウソ(確率の罠)への注意、変えられる変数に集中すること、そして長期目標から逆算して時間を管理することが、全5章にわたって丁寧に解説されています。

「他人に対する数字の鬼」ではなく、「自分に対する数値化の鬼」になること。

それが本書の核心であり、感覚や雰囲気に頼りがちなビジネスパーソンに、客観的な自己認識と行動変容をもたらしてくれる一冊です。

数値化の鬼を読み終えた率直な感想

まず率直に感じたのは「自分はこれまで、いかに曖昧な言葉でチームを動かそうとしていたか」という反省でした。

「頑張ろう」「もっと意識を高めよう」

そうした言葉は、発する側には熱量があります。しかし受け取る側、特に文化的・言語的バックグラウンドの異なるタイのメンバーにとっては、その熱量はほとんど届きません。

言葉の温度は伝わっても、行動の指針にはならないのです。当たり前ですよね。「頑張ろう」と言われても、何をどのように、どこまで頑張るべきかが明確ではないのですから。

本書はその盲点を、鮮やかに突いてくれました。

では、本書を読んで気が付いたことは、どのようにタイのチームマネジメントに落とし込んでいけるのでしょうか。

次の章で自分なりの答えを書いてみようと思います。

数値化の鬼から学ぶタイでのチームマネジメント

本書を読んだうえでの私の気づきは、おおむね下記のとおりです。

  • 現在地とゴールの数値化
  • 自分の目標と結果を数値化してもらう
  • 「頑張った」も数値化できる

読んだことがある人ならわかるかもしれません。具体的にお話していきます。

現在地とゴールの数値化

私が本書を読んだ後にまず実践したのが「現在地とゴールの数値化」です。

これはタイでのチームマネジメントにおいて、特に威力を発揮すると実感しています。

タイのメンバーは、曖昧な指示に対して「わかりました」と返事をすることがあります。しかしその「わかりました」が、本当の理解を意味しているとは限りません。

そのため、「わかりましたと言ったのに、行動や結果に表れないのはなぜなのか」と悩んでしまう人や「あいつはやる気がない」と部下を評価してしまう人も少なくないでしょう。

一方、「現在の受注件数は月20件、目標は30件、つまりあと10件のギャップがある」と数字で示せば、理解の余地は格段に狭まります。

そのギャップを埋めるためのアクションも数値で示せば、メンバーが「今月の残りの期間でなにをすべきか」も明確になるでしょう。

たとえば、「10件の受注を取るために必要な顧客アプローチ件数は〇件、1日当たり〇件を目標にアプローチしていけば目標達成も現実的だ」と伝えれば、部下たちのやるべきことも明確です。

そのために、過去の実績の分析や数値化を常におこない、頭に入れておくのが上司の仕事ですね。

数値は、言語や文化の壁を越える共通言語なのです。

自分の目標と結果を数値化してもらう

本書では自己分析や目標設定に「数値」を使うことについて話しています。これをチームメンバーに実践してもらうのが良いのではないかと思いました。

会社として、チームとしての目標はもちろんあります。しかし、各スタッフが行動の指標とする目標は、マネージャーが一方的に与えるのではなく、自分自身で数値として設定させるのが適切ではないでしょうか。

自分で数値目標を立てさせることで考えられる効果は2つあります。

ひとつは当事者意識が生まれること。

自分で立てた目標なのだから、達成したいと思うのが自然な思考です。当事者意識が生まれることで、目標達成のために作業効率が上がる効果が期待できます。また、達成できなかった場合は理由の分析も自分主体になり、チームで建設的な話し合いができるようになるでしょう。

もうひとつは評価のブレがなくなることです。

「結果が出ていないが、この人は毎日頑張っていたから。」個人目標を数値化すれば、こんな曖昧で上司によってブレが生じる評価はなくなります。

部下との面談でも「あなたは今期、自分でこの数字を目標にすると言っていましたね。」という事実は、評価の場での感情的なすれ違いを防いでくれるでしょう。

タイでは特に、評価に対する不満や誤解が離職につながるケースも少なくありません。

数値による目標設定は、公平で透明なマネジメントの土台になり得ます。

「頑張った」も数値化できる

前の項目と重複しますが、目標や実績を数値で明確に数値化することで部下の「頑張った」も私たちの言う「頑張ろう」も数値化ができます。

行動を数値で見ることで主観が取り除かれ、「頑張っている人」が正しく評価されるようになることが期待できます。

加えて、「頑張ってる風の人」や「頑張り方を間違えている人」にも気が付くことができるようになるでしょう。

たとえば、毎日遅くまで残業している人を端から見ていると「あの人は頑張っているな」と評価してしまいがちです。しかし、行動内容や結果を数値で確認したときに、毎日定時で帰る人と全然変わらないということはよくあります。

このような人は作業効率が悪いか就業時間中にさぼっている人という可能性がある「頑張ってる風の人」ですね。

一方で、なかなか結果が出ない部下の業務内容を数値で確認したときに、他のスタッフの3倍くらい顧客にアプローチしているのに結果が出ていないことがわかったなんてこともありますよね。これは「頑張り方を間違えている人」です。

この「頑張り方を間違えている人」は行動の数値化ができていない場合「仕事ができない人」になってしまいがち。しかし、正しい頑張り方に変えるだけで、「頑張っていて結果が出る人」に変身する可能性を秘めていると言えます。

行動や業務内容を数値化し、それをマネジメントに活かすことは、チーム全体のスキルの底上げや、モチベーションの上昇にもつながると信じています。

まとめ

今回のコラムでは「数値化の鬼」から学ぶチームマネジメントについて話してみました。

本書が教えてくれたのは数字への執着ではなく、「伝わるマネジメント」への誠実さだと感じています。

タイのチームメンバーに本当に成長してほしいからこそ、曖昧さを手放し、数値という共通の物差しを持つ。その覚悟を、この本は静かに後押ししてくれました。

タイのマネジメントに悩む方は、一度手に取って読んでみてほしい一冊です。

マネジメントのプロの方にとっては既知の内容や自然とやっていることが多いかもしれません。しかし、タイ赴任で初めてマネージャーとしてデビューする方や、チームビルディングに悩む方にとっては、ヒントとなる考え方が詰まっている一冊だと思います。

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なお、本サイトではタイの職場文化や日本人マネジメント層がやってしまいがちなNG行動などは別の記事にもまとめています。

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