タイの給与体系を徹底解説|所得税・社会保険・退職金積立など【2026年版】

タイの給与体系を徹底解説|所得税・社会保険・退職金積立など【2026年版】

タイで働きはじめたら、まずは給与体系の仕組みを理解しておきましょう。

タイの給与体系は日本と大きく異なる部分があるため、戸惑いや驚きを抱いたことがある人も多いはずです。

本記事では、タイの給与体系から税金、社会保険料までをまとめて整理していきます。

タイ赴任前の方にも、すでに働いている方にも役立つ内容なので、ぜひ参考にしてくださいね。

タイの給与体系はどう構成されているのか

まずはタイの給与体系の構成から整理していきましょう。

タイの給与は、基本給に各種手当を加える形で支給されるのが一般的です。

手当の内容は会社ごとに異なりますので、現地採用の場合は雇用契約時に詳細を確認しましょう。

タイで代表的な手当

代表的な手当は下記の通り。

  • 通勤手当
  • 食事手当
  • 住宅手当
  • 皆勤手当

地域や業種によって手当の種類や内容は大きく異なります。

バンコクのサービス業などの場合は、通勤手当くらいしかつかない場合が多いです。一方で、郊外の製造業の場合は上記の他に物価手当や言語手当、管理職の場合は役職手当などが付与されることがあります。

尚、日本でよく見られる家族手当や扶養手当は、タイではあまり一般的ではありません。

ボーナス(賞与)・昇給について

ボーナスの扱いも、日本とは慣習が異なります。

日本では6月と12月の年2回支給という会社が多いかと思いますが、タイの場合は年1回12月に支給するのが一般的です。

会社によっては6月にも支給する場合や、ソンクラン休暇(4月半ば)前後に一時金を全社員に支給するケースもあり。

支給額は、会社の業績や個人評価によって変わります。また、契約書に明記がなければ、法的な支給義務は発生しません。

昇給についても会社の業績や個人評価によってパーセンテージは変わります。

出向者(駐在員)の場合

日本本社からの出向者の場合、給与体系がさらに複雑になることがあります。

日本での給与とタイでの給与を、合算して管理するケースがあるためです。

一般的に、日本からの出向者の場合は前述の手当などが付与されず、基本給として支給されることが多いです。

手当が支給されない代わりに、通勤用の社用車(運転手付き)支給や、住宅費(家賃)や子供の学費を会社が負担するケースが一般的です。

給与の支払いサイクル

給与の支払いサイクルは、月次で最終営業日とする会社が一般的。締め日や支払日は会社ごとに定められており、雇用契約書に明記されます。

多くの工場ワーカーを抱える製造業の場合、ワーカークラスだけ給料日を月2回に設定していることも少なくありません。

そのため、日割り計算がしやすいように食事手当や通勤手当を月当たりの固定額でなく日当たり数十バーツと設定している場合があります。

所得税の仕組みと税率

タイの所得税は、日本と同様に累進課税(所得が増えるほど税率が上がる仕組み)です。

所得水準に応じて、税率は0%から35%まで段階的に上がります。

課税所得が年間15万バーツ以下の場合は、非課税となる仕組みです。

所得が増えるにつれ、5%、10%と段階的に税率が上がっていき、最高税率の35%が適用されるのは、高額所得者に限られる範囲です。

所得税は毎月の給与から天引きされ、会社が代わりに支払います。しかし、実際の計算は年収をベースにおこなうため、年に1度の確定申告の際に差額の追徴課税や還付が発生します。

所得税の控除について

所得税は扶養家族の数や保険加入、投資、寄付などの証明により控除されることがあります。

確定申告を会社が代行してくれる場合は、個人で加入している保険の情報やその年にした寄付の内容などを人事総務の担当者へ展開しておくと良いでしょう。

タイ赴任期間中に積み立て型保険へ加入するなどをしておけば、節税しながら将来に対する投資も可能です。

タイ駐在員は租税条約に注意

日本本社とタイの両方から給与を受け取っている方は、租税条約にも注意しておきましょう。

租税条約とは日タイ両国間の二重課税を防ぐための取り決めにより、税負担が調整される仕組みです。

この点は基本的に日本側の人事担当が処理をしてくれますが、駐在員が少なかったり、会社初の海外法人だったりする場合は、仕組みを理解していない場合があります。

赴任してすぐのタイミングで二重課税となっていないかご自身でもチェックすることを忘れないようにしましょう。

社会保険料と退職関連の拠出制度

タイで働く場合、社会保険料の負担が生じます。

これはSocial Security Fundと呼ばれ、病気や出産、失業、年金などの給付に充てられます。

拠出率は労使それぞれ給与の5%で、上限額は月875バーツです(2026年7月時点)。

加入は法律で義務付けられており、対象となる従業員に加入義務が生じます。

参考▶タイの社会保険制度とは?概要・保険料・加入条件など徹底解説

任意加入のプロビデントファンド

プロビデントファンドとは、会社と従業員が積み立てる退職金制度。日本でいうところの「企業年金」や「確定拠出年金」に近い制度です。

すべての会社がこの制度を導入しているわけではありませんが、タイにある日系大手はこの制度を導入している傾向が強いです。

拠出率は給与の2%から15%の範囲で、会社ごとに設定される仕組みです。

一定期間以上勤務している従業員は、退職時に積立元本と運用益を合わせた金額が支払われます。

プロビデントファンドは所得控除の対象にもなるため、会社が制度を設けている場合は加入を検討する価値は十分にあるでしょう。

2026年から開始される新制度

2026年10月からは、新たな積立制度の拠出が始まる予定です。

これは労働者福祉基金(Employee Welfare Fund)と呼ばれ、退職や死亡の際に手当が支給されます。

プロビデントファンドとは別に設けられた、新しい制度である点に注意してください。

概要は下記の通り。

  • 従業員10名以上の企業が対象となり、全社員加入が義務付けられる。
  • 拠出率は最初の5年間が0.25%で、その後0.5%へ引き上げられる予定
  • プロビデントファンド加入企業は対象外

まだ開始前の制度ですので開始直前まで内容の見直しや変更がかかる可能性があります。まずは自分の勤務先がどちらの制度に該当するかは確認しておくと良いでしょう。

まとめ|タイの給与体系を理解して安心して働くために

本記事ではタイの給与体系について詳しくご紹介しました。

基本給と各種手当で構成されていることや、給与から税金や社会保障が引かれることなどは、日本とあまり変わらない点かもしれません。

所得税やその控除についてはしっかりと理解しておくことで無駄な追徴課税を防いだり節税効果を期待することもできます。

タイでは労働者を守る法律が今後も段階的に整備されていく見通しですので、給与や社会保障に関しては頻繁に制度の中身が変更になっています。タイに赴任して人事総務やバックオフィス系を担当する方は、制度変更についてしっかりアンテナを張っておく必要があるでしょう。

参考資料・参考サイト

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