タイ人スタッフの退職サイン|辞める前に見られる行動パターンと離職率を下げるためのポイント

タイ人スタッフの退職サイン|辞める前に見られる行動パターンと離職率を下げるためのポイント

「あのスタッフ、最近なんか様子が違う…」と感じたことはありませんか。

タイ人スタッフの離職は、ある日突然のように見えて、実は事前にいくつかのサインが出ているケースがほとんどです。ただ、そのサインは日本人の感覚では気づきにくいことが多く、見逃したまま退職届を受け取るという流れになりがちです。

本記事では、退職を検討しているスタッフによく見られる行動パターンと、離職率を下げるために管理職や人事担当者が押さえておきたいポイントを整理します。

なぜタイ人スタッフの退職は「突然」に見えるのか

日本では、退職を決意したスタッフが上司に相談し、一定の引き継ぎ期間を経て円満退職というケースが一般的です。しかしタイでは、その前提がそのまま当てはまらないことがほとんどです。

タイ人は一般的に、対立や摩擦を避けようとする傾向があります。「クレンチャイ(気を遣う・相手を傷つけないようにする文化的な配慮)」と呼ばれるこの価値観は、職場でも強く働きます。

また、日本ほど引継ぎを重要視する感覚がないというのも「突然」辞めれる要因。タイで長く働く方なら「担当者が辞めてしまったからわからない」と取引先から言われてしまった経験がある人も少なくないでしょう。

これらの理由から、転職を考え始めても上司や会社への不満を直接伝えることが少ないのがタイの職場文化。代わりに、静かに転職活動を進め、内定が出た段階で初めて退職を申し出るというパターンが多くなります。つまり日本人管理者から見ると、「何の前触れもなく」突然退職届が来るように感じるのです。

ただ、実際にはサインが出ていないわけではありません。見逃しているか、サインと認識できていないかのどちらかである場合がほとんどです。

次のセクションでは、代表的な行動パターンを4つ取り上げます。

退職を検討しているスタッフに見られる行動パターン4選

急に静かになる・ミーティングで発言が減る

もともと活発に発言していたスタッフが、ある時期から急に口数が少なくなることがあります。ミーティングでの発言が減り、雑談にも加わらなくなる。こうした変化が目立ってきたら、注意が必要です。

これは、「どうせ辞めるならもめたくない」という心理が働いている可能性があります。

組織への帰属意識が薄れてくると、自然と発言頻度が落ちていきます。チームの一員として何かを変えようという意欲も、転職活動が進むにつれて低下していくためです。

一方で、性格的に元から無口なスタッフもいますので、あくまで「以前と比べてどうか」という変化の視点で見ることが大切です。

有給(Annual Leave)の消化ペースが急に上がる

それまで有給をあまり使っていなかったスタッフが、急に休暇を取るようになった場合は、転職活動が始まっているサインである可能性があります。

タイの転職活動では、書類選考を通過すると複数回の面接が行われます。

面接は平日の日中に設定されることがほとんどであり、会社を休むか、遅刻・早退で対応するしかありません。このため、転職活動中のスタッフは有給休暇(Annual Leave)や病気休暇(Sick Leave)の取得頻度が上がる傾向があります。

特に、単発の休みが週に1〜2回のペースで続いたり、体調不良などの理由で午前だけ休むケースが増えてきたりする場合は、面接に行っている可能性を頭に入れておいた方がよいでしょう。

また、タイ労働法では退職前に有給を消化する権利がスタッフにあります。そのため、転職先が決まった後に残っている有給を一気に消化してから退職という流れも珍しくありません。

有給残日数の急な減少も、退職準備が進んでいるサインのひとつです。

JobthaiやLinkedInなどのプロフィールを更新している

タイで広く使われている求職サイトとして、JobthaiやJobsDBなどのプラットフォームや。、LinkedInというグローバルなビジネス特化型SNSがあります。転職活動を開始したスタッフは、まずこれらのプロフィールを更新することが多いです。

スキルの追記や写真の更新、最終ログイン日の変化などはチェックできる場合もありますが、直接確認するのはデリケートな問題をはらみます。ただ、他のスタッフ経由でそういった情報が入ってくることもあるため、「気にしておく」くらいのスタンスが現実的です。

これらのプラットフォームやSNSは、人材会社や企業のHR担当者がレジュメを検索して直接スカウトを送れる機能が付いています。

そのため、「転職意欲はまだないけれど、良いオファーがあれば動く」というスタンスで常に働いているスタッフも少なくないということは念頭に置いておきましょう。

気にしておきたいポイントとしては「勤続期間がある程度長くなってきたスタッフが直近数週間の間にプロフィールを更新しているかどうか」。常に従業員のプロフィールを把握しておく必要はありませんが、様子がおかしいと感じたスタッフについてはこれらのプロフィールが更新されているか否か気にしておいても良いかもしれません。

身の回りの整理・引き継ぎへの消極性

デスクの私物が少しずつ減っている、共有フォルダのファイル整理を始めている、といった変化も見逃せません。

退職日に向けて静かに準備を進めているサインである場合があります。

反対に、後任への引き継ぎや業務マニュアルの整備に消極的になっているケースも同様です。「どうせ辞めるから」という気持ちが、業務への主体性を失わせている可能性があります。

加えて、残業を極力しなくなった、仕事を最低限しかこなさなくなったという変化も、退職前に現れることのある傾向のひとつです。

なぜそのサインが出るのか|背景にある心理を理解する

行動パターンを把握するだけでなく、「なぜそうなるのか」を理解しておくことも、スタッフとの関係づくりに役立ちます。

タイ人スタッフが不満を抱えていても直接言わない背景には、前述のクレンチャイに加えて「顔を立てる(相手のメンツを傷つけない)」という感覚があります。上司への不満があっても、それを面と向かって伝えることは、相手を傷つけることになると感じる人が多いのです。

また、タイでは転職先が決まってから動くというスタイルが一般的です。「辞めます」と伝えるのは、次が決まった後。それまでは会社に感づかれないように行動するため、表向きは普通に働いているように見えます。

さらに、職場の人間関係や雰囲気が「安心して話せない環境」になっていると、スタッフは余計に本音を隠すようになります。管理者側として振り返ってみると、日常的な対話の機会が十分に設けられていたかどうかも重要なポイントです。

離職率を下げるために管理職・人事担当が意識したいこと

退職サインを早期に察知することも大切ですが、そもそも「辞めたいと思われにくい職場をつくること」が根本的な対策になります。

以下では、日系企業の管理者や人事担当者が実践しやすいポイントをまとめます。

日常的な面談(1on1)の習慣をつくる

月に1回程度1on1の場を設けることは、スタッフの本音を引き出す有効な手段のひとつです。

ただし、タイ人スタッフは「不満を直接伝える」ことに慣れていないため、最初から「何か困っていることはないか」と聞いてもなかなか出てきません。

仕事の進捗確認や雑談ベースで関係を温めながら、少しずつ話せる雰囲気をつくっていく姿勢が求められます。

定期的に話す習慣があるだけで、スタッフ側の「この人には話してもいいかも」という信頼感が育ちやすくなります。

給与・評価のタイミングと透明性を意識する

タイ人の転職理由として、給与への不満は常に上位に入ります。

「頑張っているのに評価に反映されない」「昇給の基準がわからない」という不満が積み重なったとき、転職という選択肢が現実味を帯びてきます。

評価の基準を明確にし、結果を本人にきちんとフィードバックする仕組みを整えることが大切です。

また昇給やボーナスのタイミングを事前に伝えておくだけでも、スタッフの安心感につながります。

キャリアパスを一緒に考える姿勢を示す

給与への不満と同じくらい退職理由の上位に入るのが将来的なキャリアパスの明確性。

「この会社にいることで自分はどう成長できるのか」が見えないと、転職への関心が高まりやすくなります。特に20〜30代の若いスタッフにとって、成長実感はモチベーションの大きな源泉です。

定期的に「今後どんなことをやりたいか」「どんなスキルを伸ばしたいか」を聞く機会を設け、可能な範囲で業務に反映させる姿勢を見せることが定着率の向上につながります。

将来のポジションを一緒に描くことができると、スタッフの会社への帰属意識も高まりやすくなります。

退職者の声を次に活かす仕組みをつくる

退職するスタッフへの退職面談を実施している企業はまだ少ないですが、非常に有益な機会です。在職中には言えなかった本音が出やすく、職場の課題が浮き彫りになることがあります。

面談で得た情報を人事改善に反映するサイクルを作ることで、同じ理由での離職を繰り返さない組織づくりが可能になります。

ただし、退職面談は退職の決意が固まった後に行うものであり、引き止め交渉の場にしてしまうと逆効果です。

あくまでも「次をより良くするための対話」として位置づけるのが適切です。

まとめ

今回は、タイ人スタッフの退職サインは主に以下の4点であるとお話ししました。

  • 急に静かになる
  • 有給取得が増える
  • JobthaiやLinkedInを更新している
  • 身の回りの整理が始まる

いずれも単独では判断しにくいですが、複数のサインが重なってきたら早めに個別の対話の機会を設けることをおすすめします。

ただ、サインをキャッチしてから動くだけでは「時すでに遅し」という結果にもなりかねません。日常的なコミュニケーションや透明な評価制度、成長機会の提供といった土台を整えることが、長期的な離職率低下への近道です。

スタッフが「辞めたい」と思う前に気づける関係性をつくること。それが、タイでのチームマネジメントにおいてもっとも大切なことではないでしょうか。

尚、記事内で話したタイの職場文化に関しては様々な記事でまとめています。
「タイで働く」ということをイメージしやすいと思うので、是非併せてチェックしてくださいね。

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