日本人上司とタイ人スタッフの関係って?現場でよくある5つのギャップと対処法

日本人上司とタイ人スタッフの関係って?現場でよくある5つのギャップと対処法

日本企業でタイ人スタッフをマネジメントする日本人上司の方にとって、文化や働き方の違いから生じるコミュニケーションギャップは大きな悩みの一つです。

「言ったことがうまく伝わらない」「指示通りに動いてくれない」と感じる場面も少なくありません。

本記事では、現場でよくある日本人上司とタイ人スタッフの5つのギャップを紹介し、ギャップに対してどう向き合うか考えます。

文化的背景や性格の違いを理解することでタイ人スタッフとの関係をよりスムーズにし、職場の生産性向上につなげるポイントを学びましょう。

これからタイ人スタッフと働く予定のある方にも役立つ内容です。

なぜすれ違う?日タイの職場文化の前提の違い

日本人上司とタイ人スタッフの間で起こるコミュニケーションのすれ違いは、文化的な前提の違いが大きな原因です。

日本では「空気を読む」「察する」文化が根付いており、上司の意図を暗黙のうちに理解することが期待されます。

一方、タイでは個人の意思や気持ちを尊重する傾向が強く、言われたことを文字通り受け取るスタイルが多いです。

この価値観の違いが、指示や相談の場面で誤解を生むことがあります。

職場での円滑なコミュニケーションには、この文化的背景の理解が欠かせません。

日本は「察する」・タイは「空気より個人の気持ち」

日本人は職場で相手の意図や状況を察して行動することが一般的ですが、タイ人スタッフは個人の考えや感情を優先して行動する傾向があります。

たとえば日本人の場合だと、上司や同僚が忙しそうにしていると「手を貸すべきか迷う」ことが少なくありません。

しかしタイでは、自分の判断や希望をはっきり伝えることが尊重される文化なので、日本式の「察して動く」期待は通じにくいのです。

そのため、具体的な指示や理由を明示するコミュニケーションが重要になります。

「YES=了解」じゃない?タイ人のうなずきの意味

タイ人スタッフがうなずきながら話を聞く場面で、日本人上司は「理解した」と受け取りがちですが、実際には「聞いている」「話を受け止めている」程度の意味であることが多いです。

YESと口に出さなくても同意と捉えてしまうと、業務上のミスや誤解につながることがあります。

対策として、重要な指示や依頼は口頭だけでなく文章で確認したり、相手に理解を言語化してもらうことで、意思のすれ違いを防ぐことができます。

現場で生じる5つのギャップ

日本人上司がタイ人スタッフと働く現場では、文化や価値観の違いから日常的にギャップが生じます。

指示の受け取り方、報告のタイミング、時間感覚、叱り方、キャリア観など、意識しないと小さなすれ違いが大きな問題につながることも少なくありません。

以下ではタイの職場でよく見られる5つのギャップについて、具体例とともにご紹介します。

タイの職場で生じる5つのギャップ

  • 指示の出し方で生じるギャップ
  • 報告・連絡・相談は当たり前ではない
  • 時間感覚のギャップ
  • 叱り方にも工夫が必要
  • キャリア観におけるギャップ

タイの職場で生じるギャップを知ることで、「ギャップとどう向き合うべきか」という点について考えを深めていくことが出来ます。

指示の出し方で生じるギャップ

日本人の指示の出し方は「1を言ったら10を理解する」ということが期待されます。そのような環境で育った日本人は、自ずと上司は暗黙の了解や細かいニュアンスをくみ取ることが得意です。

しかしタイにはそのような文化が無いため、上司の指示を文字通りに受け取る傾向があります。

そのため、「察してほしい」と思った行動が期待通りにならず、誤解や業務の遅れが生じやすいです。

特に複雑なタスクや優先順位の判断が必要な場合、抽象的な指示は混乱を招きます。

現場では具体的かつ段階的な説明が重要であり、確認のプロセスを取り入れることでギャップを減らすことができます。

報告・連絡・相談は当たり前ではない

日本の職場では報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が基本。しかしタイ人スタッフは「自分から報告する習慣」があまり定着していません。

そのため、問題が大きくなるまで上司に伝わらないことがよくあります。

文化的背景として、タイでは上司に迷惑をかけたくない気持ちや、自分の判断を尊重されたいという意識が強く働きます。

ギャップを理解し、報告のタイミングや方法を明確にルール化することが大切です。

時間感覚のギャップ

日本人上司は時間を厳守することを重視しますが、タイでは時間に対して柔軟な感覚を持つ人が多いです。

そのため、遅刻や納期のずれが生じやすい傾向があります。

この違いは業務の効率やチーム全体の進行に影響する可能性があるため、単なる「遅刻」と捉えるのはNG。背景にある文化や価値観を理解することが必要です。

具体的には、期限を明確に伝えたり、重要な締め切りは事前にリマインドするなどの工夫をするのが有効です。

叱り方にも工夫が必要

タイの人々はプライドが高く、自身の面子を重んじる文化が強いです。そのため、後悔での指摘や感情的な𠮟り方は絶対に避けましょう。

周りに同僚がいる場所で指摘や叱責を直接伝えることはタイ人スタッフのストレスとなりやすく、モチベーション低下につながることがあります。

改善点を伝える際は、個別に前向きな表現で指摘することが効果的です。

また、良い点も同時に伝える「サンドイッチ方式」でフィードバックを行うと受け入れやすくなります。

キャリア観におけるギャップ

日本人上司は長期的なキャリア形成や昇進を重視しますが、タイ人スタッフは安定や生活の充実を優先する人が多い傾向にあります。

そのため、成長意欲や目標設定の考え方が異なり、評価やモチベーションの捉え方にズレが生じやすいです。

現場でキャリアの話題をする際には、個人の価値観やライフスタイルの優先度を尊重しながら、目標や期待を共有することが重要です。

5つのギャップとどう向き合う?現地マネジメントのヒント

前章で紹介した5つのギャップは、放置すると業務の効率低下やスタッフのモチベーション低下、離職率の上昇につながる可能性があります。

しかし、文化や価値観の違いを理解して適切なマネジメントを行えば、これらのギャップは現場の強みに変えることができます。

以下では、タイ人スタッフとの信頼関係を築きつつ、指示の出し方やルールの伝え方、文化理解を踏まえた現地マネジメントの具体的なヒントを紹介します。

上司としてどう対応すべきか、実務に役立つポイントを整理していきましょう。

理由のないルールで押さえつけない

文化や価値観の違いを無視して日本式のルールを押し付けると、反発やモチベーション低下につながります。

タイ人スタッフの行動や判断には理由や背景があることを理解し、納得感を持ってもらうことが大切です。

ルールを設定する際には「なぜこのルールが必要なのか」を明確に伝えましょう。

そして、ルールの中に柔軟な対応が可能な部分を示すことで現場の協力を得やすくなります。

信頼関係の築き方を工夫する

タイ人スタッフとの円滑な関係には、信頼が欠かせません。

日常的なコミュニケーションや相談の時間を確保し、感謝や承認の言葉を適切に伝えることで信頼関係を築けます。

また、失敗や問題を責めるのではなく、改善策を一緒に考える姿勢を見せることが大切。

上司が寄り添い並走してくれる環境こそが、タイ人スタッフにとって安心して働ける職場環境なのです。

相手の文化を知ることが第一歩

ギャップを埋めるには、まずタイの文化や価値観を理解することが必要です。

言葉のニュアンス、仕事の進め方、時間感覚、フィードバックの受け止め方などを知ることで、指示やコミュニケーションの方法を柔軟に調整できます。

文化理解は現地マネジメントの基礎であり、スタッフとの信頼構築や生産性向上に直結します。

まとめ

日本人上司とタイ人スタッフの間には文化や価値観の違いから生じるギャップがあります。

しかし、それを理解し、指示や報告方法、フィードバックの伝え方を工夫することで、円滑なコミュニケーションが可能です。

勘違いしてはいけないのは、全てタイの文化に合わせる必要はないということ。

ルールの設定や伝え方の工夫をおこない、日系企業が守るべき日本式の働き方に抵抗なく順応して貰うことが目的です。

そのためには、信頼関係の構築や文化の違いの理解は必要不可欠。

これらを理解した上でマネジメントすることで、職場の生産性向上やスタッフのモチベーション維持につなげられます。

現場で実践できる具体的な対応策を意識して取り入れることが重要です。

タイの職場文化に関する10のあるあるは以下の記事でもご紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

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タイワークラボ編集部

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