タイ就職に必要なビザ・労働許可証とは?|種類・取得の流れ・注意点を解説

タイ就職に必要なビザ・労働許可証とは?|種類・取得の流れ・注意点を解説

タイで働くには「就労ビザ(Non-Immigrant B)」と「労働許可証(ワークパーミット)」の2つが必須です。

観光ビザやノービザでの就労は認められず、発覚した場合は罰則の対象になる可能性もあります。

そのため、内定後の準備段階までにはビザ手続きの流れを正しく理解しておくことが大切です。

本記事では、日本人がタイで働く際に必要なビザ・労働許可証の基本ルール、手続きの流れ、注意点などを解説します。

日本人がタイで働くために必要な2つの書類

日本人を含む外国人がタイで働くためには、「就労ビザ(Non-Immigrant B)」と「労働許可証(ワークパーミット)」の両方が必要です。

これまで日本でしか働いたことがない人にとっては、聞き慣れないワードですね。

そもそも日本人はビザなしで渡航できる国が多いため「ビザを取得する」という感覚自体が薄いかと思います。

以下では「そもそもビザやワークパーミットとは何?」という点を整理してご説明します。

就労ビザ(Non-Immigrant B Visa)とは

「Non-Immigrant B Viza(通称:就労ビザ)」は、タイでの就労を目的とする外国人が取得すべきビザです。

タイにある会社と正式な雇用契約を結ぶ場合に必要となります(駐在員の赴任も該当します)。

日本または第三国のタイ大使館または領事館で申請し、通常は有効期限が90日間のシングルエントリーで発給されます。

入国後にワークパーミットを取得した後に手続きをおこなうことで、有効期限が1年間まで延長可能です。

ビザの申請には就職先の書類が必要なため、個人での取得はできません

また、就労ビザは就業先企業に紐づいているため転職したら取得し直しとなります。

労働許可証(Work Permit)とは

労働許可証(ワークパーミット)は、タイ労働省が発行する「就労の許可証」です。

就労ビザを取得して入国した後、勤務先の企業が申請手続きを行います。

申請には雇用契約書、会社登記書類、雇用理由書などが必要で、許可証には「職種」「勤務先」「勤務地」が明記されます。

ワークパーミットに記載されている条件外で働くと違法となるため、転職や業務内容の変更時は必ず再申請が必要です。

就労ビザとセットで取得して初めて合法的に働けます。

どちらが先?取得の順番について

タイで働くためには「就労ビザ → 労働許可証」の順で取得するのが原則です。

まずは日本または第三国のタイ大使館・領事館で就労ビザを取得し、そのビザで入国した後に雇用主がワークパーミットを申請します。

なお、ビザなしで入国しても労働許可証は発行されないため注意が必要です。

つまり、ビザなしで就活してそのまま入社→ビザなしのまま就業という流れはあり得ません。もし就業先がそのような会社だった場合は注意が必要。就業先の人事担当やビザ取得に関する専門家に相談しましょう。

就労ビザとワークパーミット取得の流れ

タイでは、就職先が決まっていない状態で就労ビザを取得することはできません。なぜなら企業側の招聘状や登記情報など、雇用主が申請書類を用意する必要があるためです。

就職先が決まってから取得完了までの一般的な流れは次の通りです。

  1. 内定受諾
  2. 就労ビザ(シングル)取得
  3. 入社
  4. 労働許可証(ワークパーミット)取得
  5. 就労ビザ更新

手続きには数週間~2か月程度の期間が必要。余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。

企業側の協力が必要不可欠

就労ビザ・ワークパーミットの取得には、就業先企業のサポートが必要不可欠。なぜなら、申請書類の多くは会社側が発行・署名する必要があるためです。

日系企業の場合は駐在員の手続きで慣れている場合が多いため概ね心配はありません。

しかし、外国人を雇用したことがないローカル企業に就職する場合は注意が必要。手続き自体に慣れていないため、申請手続きをサポートしてもらえるかを事前に確認しておきましょう。

ビザを取得できる国について

就労ビザは、タイが大使館・領事館を設置している国で申請可能です。

多くの日本人は東京または大阪のタイ王国大使館で申請しますが、それ以外であればシンガポールやマレーシア、ラオスなどで取得する人が多い印象です。

ちなみに申請する国は必ずしも自分で選べるわけではありません。

申請する国によって必要書類や所要期間が異なるため、申請国を企業側に指定される場合もあります。

タイ国内でビザの切り替えは可能?

原則として、観光ビザやノービザから就労ビザへの切り替えはタイ国内ではできません。

ただし、例外的に労働省・入国管理局の承認を得られれば、特定の条件下で切り替えが認められることもあります。

これに関しては企業側の担当者が調整してくれるのが一般的なので、任せておけば大丈夫。

逆にこちらから確認をしなければビザ申請等の話を全くしてこない企業には要注意です。

タイで就職活動中によくある質問

就労ビザやワークパーミットの申請は、初めての方にとって分かりづらい点が多くあります。

ここでは、実際に日本人がタイで働く際によくある疑問をまとめました。

内定後のスケジュールや費用負担、取得条件など、知っておくと安心なポイントを解説します。

内定が出てからどれくらいで働ける?

内定から実際に働けるまでの期間は、企業と申請スピードによります。一般的には1〜2か月程度が目安です。

日本でビザを取得する場合、まず企業が書類を準備し日本でビザ申請を行います。※1週間~10日が目安

入国後はワークパーミット申請で更に1〜2週間かかることが予想されます。

手続きをスムーズに進めるには、早めの書類提出と企業側との連携が重要です。

ビザやワークパーミットの費用は誰が払う?

ビザやワークパーミットの取得費用は、企業が負担するケースと個人負担のケースの両方があります。

日系企業の場合は会社負担が一般的です。しかし、ローカル企業では本人負担となる企業が多い傾向があります。

費用は就労ビザ(シングル)で約2,000〜3,000バーツ。※1
ワークパーミットで3,000〜5,000バーツ前後が目安です。

事前に雇用契約書やオファーレターで負担範囲を確認しておきましょう。

※1 ビザ申請費用の参考:https://site.thaiembassy.jp/jp/visa/about/12670/

ビザやワークパーミット取得の条件はある?

外国人がタイで働くには企業側に「外国人雇用枠」があります。※2

個人側としては、学歴や職歴が職種に適していることが求められます。(例えばエンジニアの人は大卒工学部卒や実務経験が必要など)

しかし、単純労働や一部の職種(例:販売員、運転手など)は外国人の就労が禁止されている(※3)ため注意しましょう。

※2 外国人1人の雇用に資本金200万バーツ、タイ人従業員4名の雇用が必須。
※3 参考:外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | タイ - アジア - 国・地域別に見る - ジェトロ

内定後/入社後にビザやワークパーミットを取得できないとどうなる?

もし就労ビザやワークパーミットが取得できなかった場合、合法的に働くことはできません。

無許可での就労は罰金や国外退去の対象となるため、企業側が採用を取り消すことも。

ビザ審査では書類不備が起きやすいため、早めに必要書類を準備した上で担当者や専門代行業者と連携して進めることが大切です。

まとめ

タイで合法的に働くためには「就労ビザ(Non-Immigrant B)」と「労働許可証(Work Permit)」の両方が必要です。

どちらか一方では不十分で、企業側の協力も不可欠。

手続き開始から取得までは1〜2か月程度かかるため、内定が決まったら早めに準備を始めましょう。

ビザの仕組みを知ることは、違法な行為を行おうとする雇用主や周りの人から自分の身を守る事にも繋がります。

何が正しいことなのかを自分で確認することで、安心してタイで働くことが出来ますね!

尚、ビザに関する最新の公式情報は在東京タイ王国大使館の公式ページで確認できます。興味のある方は以下のリンクよりご確認ください。
参考:在京タイ王国大使館

タイワークラボ編集部

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