2026年どう動く?2025年タイの仕事と人材市場の変化

新年あけましておめでとうございます。
2026年最初の投稿は編集部コラムからスタートです。
2025年のタイ人材市場は、なかなか変化の多い一年だったと感じています。
人材会社ではたらく私は日々、企業や候補者の方々とやり取りをしています。そんな中で2025年は「これまでの年とは明らかに違うな」と感じる場面が何度もありました。
具体的には駐在員の数や採用の考え方、候補者の給与感など。どれも少しずつ、でも確実に変わってきています。
今回は、人材会社で働く立場から、2025年のタイの仕事と人材市場を振り返りつつ、特に印象に残った変化をまとめてみたいと思います。
あくまで現場で感じた「肌感覚」ベースのコラムですが、今年以降の採用やキャリアを考えるヒントになれば嬉しいです。
この記事の目次
日本人駐在員が減り、現地採用ニーズが一気に高まった一年
2025年に強く感じたのが、日本人駐在員の帰任に伴い後任が来ないケースの増加です。
昨年は「○○さんの後任を現地採用かタイ人で考えている」という相談が明らかに増えました。
背景にあるのは日系製造業(特に自動車関連)の低迷。2024年比で見ると横ばいか微増の企業が多かったとは思いますが、コロナ前ほど回復をしている企業は少ないです。
加えて、円安バーツ高やアメリカ向けの輸出関税、タイ最低賃金の上昇など、あらゆる要素が拍車をかけ、コスト削減の為に駐在員を減らす考えの企業が増加している傾向にあります。
中小企業においては後任不足も深刻な問題になっていると耳にすることも。
技術者の高齢化や海外赴任に手を挙げる若手が減ってきているなど、コスト削減以外の問題点も浮上しているようです。
これらの背景から、駐在員の削減に乗り出した企業が増えたのでしょう。
企業側は、駐在員ありきだった体制からタイ人材や現地採用を中心とした運営へとシフトする流れ作り始めています。
この流れは2025年だけに留まらず、2026年も継続される傾向だと予想しています。
タイでの日本人向け求人が増えることに繋がるため、タイ就職を目指す人にとっては朗報となりえます。しかし、その反面で現地採用に求める要件が厳しくなる可能性も。
かつては日本人というだけで簡単に内定が出ていた時代がありましたが、それは過去の話。
今後は業界経験者や専門スキルを持つ人などが求められる傾向が一層強まりそうです。
最低賃金の上昇が、雇用の形を変えつつある
2025年は、タイの最低賃金が一部地域で1日400バーツまで上昇しました。
いつまで上がり続けるのか不安な企業も多いでしょう。
工場で働くブルーカラー人材にとっては嬉しい話。しかし、企業側としては人件費の上昇は深刻な問題となります。
最賃上昇を機に「正規雇用をせずに人材派遣や業務請負で対応したい」という問い合わせも一昨年と比較して増加したのが2025年です。
数年間続いているタイでの不景気に最賃の上昇が加わったのが、この動きの大まかな背景。
増員が必要な際に短期派遣の活用や外部業者へ委託をおこない、長期的な雇用や人件費の上昇を抑えるという動きに舵取りをしていっている印象です。
今後は生産ラインの省人化を目的とした工程改善やオートメーション化の動きも更に加速していくでしょう。
加えて2026年1月には社会保険料の上限引き上げが実施されます。金額は微々たるものですが。
製造業にとって最も大きなボリュームを占めるブルーカラー人材に関しては、今回の改定について特に影響はありません(月給15,000未満の人が多いため)。しかし、引き上げの対象となる可能性が高いホワイトカラー人材については、人員削減の対象となってくる可能性が高まっていくでしょう。
バックオフィス業務のDX化が一種のトレンドとなっている今、2026年以降はこの動きが加速して行くと見ています。
対象職種の方は資格取得や+αのスキルを身に付け、このトレンドの波の中で生き残っていく術を見つける他ありません。
バンコク都内のタイ人候補者、希望給与の上昇が止まらない
バンコク都内のタイ人候補者の希望給与が、年々上がっていることも印象に残っています。
特に語学力や専門スキルを持つ人材の場合、数年前と比べて提示される希望額が大きく変わりました。
私もアップデートされていない部分があるため、候補者の希望給に驚くこともしばしば。
これは、コロナ以降の物価上昇や、前述の最賃上昇などが背景にあります。
そのため、これは候補者側としては自然な流れなんです。しかし、企業側としては頭を抱える問題。
良い人を雇う為には給与額も考えなければいけないとわかっていても、社内の給与バランスや前任者にかかっていた人件費を考慮しながら人材採用をおこなうため、簡単なことではないのですよね。
そのため、現在タイの就職・転職市場は需要と供給のミスマッチ(人材はいるのに求人も減らない状態)が起こっています。
これにより増員や欠員補充時の採用が長期化するケースに昨年は何度も遭いました。
タイの有名な求人サイトでも「閑散期でも求人数が減らない」という状態です。
私は毎月各求人サイトにおける求人数と候補者数の統計を取り続けているのですが、求人数が減少する8月~11月の期間でも、今年は例年とは異なるカーブを描き、求人数が横ばいもしくは増加する動きが見られました。
企業側は簡単に給与を上げられないため、パフォーマンス次第で給与や役職を上げやすい仕組みづくりや、従業員の教育体制の見直しなどをおこなうことが急務です。
成長できる会社であり続けることや、結果を残す人材に対価を支払える会社であることをアピールし、それなりの人材を社内で育てていく・モチベートしていく体制を整える方が現実的ではないでしょうか。
また、語学・スキル系人材の外部委託なども対策としては効果的です。
即戦力をスポットで活用することで、正規雇用よりもコストやリスクをかけずに会社を運営していくことが出来るでしょう。
中国語系の求人が目立った2025年
2025年は中国語人材の求人が増えた年でもありました。中華系企業のタイ進出や事業拡大に伴い、中国語を使える人材へのニーズが高まっています。
中国語に加えて英語も使える人材は特に引き合いが強く、日本語求人とは少し異なる市場が形成されつつある印象です。
これは中華系企業やタイローカル企業に限った話ではありません。日系企業でも中華系企業とやりとりができる人材を求めるケースが増えてきています。
実際に某求人サイトでも中国語求人が日本語求人を大幅に上回っており、そのニーズが年々高まってきていることが証明されています。
背景にはタイ人の中国語人材があまり市場に出回っていないという点があります。
私が勤める会社では中国語可能なタイ人候補者の積極獲得も進めており、2026年も増加する可能性が高いこのニーズに対応できる体制を整え始めています。
2025年を振り返って、そして2026年に向けて
2025年を振り返って思うのは、タイの採用市場が「安く・簡単」に人を採れる時代から、確実に変わってきているということです。
企業側には、採用戦略や社内の仕組みがより求められるようになりました。
一方で、候補者側にとっても、自分のスキルや強みをどう活かすかがこれまで以上に重要になっています。
語学、専門性、経験の掛け合わせが、キャリアを左右する時代に入ってきたと感じます。
2026年も変化の流れは続いていくはずです。この一年の動きを振り返りながら、次に向けて何を準備するか。そんなことを考えるきっかけになれば嬉しいです。
タイワークラボ編集部

在タイ日系人材会社で働く日本人が、「タイで働く」「タイで暮らす」日本人のためのリアルな情報を、現地からお届けしています。
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