タイで働く日本人の給与相場|職種・年齢別の実態とは

タイで働く日本人の給与は、同じ職種でも経験や年齢、雇用主によって開きがあります。
その差はどこにあるのでしょうか。
本記事では職種・年齢・雇用形態ごとの実態と、見落としがちな給与交渉のポイントをまとめました。
タイ就職を目指して情報収集をしている方や、転職を考えている方、絶賛就職活動中の方など、タイで働くあらゆる方の参考になれば幸いです。
この記事の目次
タイの日本人求人、給与の考え方はどう違うのか
日本との給与体系の違い
タイの給与体系は、日本のそれとは前提から異なります。
日本では「年功序列(年齢や勤続年数に応じて給与が上がる仕組み)」が多くの企業に残っていますが、タイでは原則として職務と実績に基づく「ジョブ型(仕事内容や成果に応じて報酬が決まる形式)」の考え方が主流です。
つまり、「何年働いているか」より「何ができるか」の方が評価される。
その結果、タイに来た直後でも専門性次第では高い給与を得られる一方、スキルが曖昧なまま来ると想定より低い提示額になることも珍しくありません。
また、タイでは給与に加えて各種手当の割合が大きく、額面だけでは実際の待遇を測りにくい側面があります。
現地採用と駐在員で大きく変わる報酬構造
タイで働く日本人の給与を語るうえで、まず切り離せないのが「現地採用」と「駐在員」の違いです。
駐在員(日本の会社から命じられてタイに赴任する形態)の場合、日本の給与水準を維持したまま、住宅手当や帰国手当などの各種補助が上乗せされるのが一般的です。
一方で現地採用(タイの会社や現地法人に直接雇用される形態)は、タイの給与相場に合わせた報酬設定となります。
同じ職種・同じキャリアの日本人でも、この2つの形態では月収が2〜3倍以上変わることもあります。
「タイで働く」と一口に言っても、まずこの前提を押さえておく必要があります。
【職種別】タイで働く日本人の給与相場
ここからは現地採用を前提とした、職種別の給与相場を紹介します。
あくまでも目安であり、会社規模や業種・経験年数によって変わる点はご承知おきください。
製造業・工場管理系(生産管理・品質管理など)
タイに進出する日系企業の多くは製造業。そのため、自ずと製造業や工場管理系の職種の選択肢は増える傾向にあります。
これまでは日本の技術を熟知した駐在員が配属されていたポジションなのですが、昨今の駐在員減少の波により、今後経験のある現地採用のニーズはこれまで以上に高まることが期待されます。
給与の目安は月額6万〜12万バーツ程度。経験10年以上の人材は15万バーツを超えるケースもあります。
このカテゴリは60歳以上のシニア人材を積極的に採用する企業も少なくありません。そのため、日本で定年退職や早期退職後にタイ就職を考える方も一定数いらっしゃいます。
タイ語で業務上のコミュニケーションが取れる方は重宝されるでしょう。
営業・マーケティング系
BtoB(企業間取引)の営業職は、日系・外資問わず需要があります。
タイの日本人求人で最も求人数が多いカテゴリと言っても過言ではありません。
日本語対応が必要なクライアントを担当するポジションでは、日本語能力が直接評価に繋がります。そのため、「語学不問」の求人が出やすい職種です。
給与の目安は月額5万〜10万バーツ程度。インセンティブ(成果報酬)が加わる場合は、それ以上になることも。
マーケティング職はポジションの幅が広く、デジタルマーケティング(SNSや広告を使った集客施策)の経験者の需要は特に増えています。しかし、日本人の場合は営業と兼務になるのが一般的です。
ITエンジニア・システム系
タイのIT人材市場は近年急拡大しており、日本語のできるITエンジニアは引く手あまたです。
開発言語(プログラムを書くための言語)の種類や経験年数によって大きく変わりますが、給与の目安は月額7万〜15万バーツ程度。
フルスタックエンジニア(フロントエンドとバックエンドの両方を担当できる開発者)やクラウドインフラ(AWSやGCPなどのサーバー管理)の経験者は特に高い評価を受けます。
タイは世界的に有名なIT企業も多く進出しているので、英語ができる人であれば日系企業に拘らずに欧米系の企業も視野に入れることで、15万バーツ以上の給与額も夢ではありません。
管理部門(経理・人事・総務)
日系企業の現地法人では、経理・人事・総務などの管理部門も継続的に需要があります。
ただし、ローカルスタッフ(タイ人社員)がある程度担える業務でもあるため、日本人が採用される際は「日本本社との連携窓口」「法人立ち上げ期のマネジメント支援」など、付加価値が求められる傾向も。
また、実務を行う現地スタッフとの関わり合いが強いため、ビジネスレベルのタイ語か英語が必須となる場合が多いです。
給与の目安は月額5万〜9万バーツ。会計の経験や資格等がある方は最大15万バーツ前後となります。
タイの税務や労働法(タイ労働者保護法)の知識があると、評価が上がりやすいです。
【年齢別】30代・40代・50代それぞれの働き方・給与実態
30代前半|現地採用でキャリアを積む時期
30代前半でタイの現地採用にトライする人は、「キャリアチェンジ」「海外経験を積みたい」という動機のケースが多いです。
この時期は給与水準より「何を経験できるか」を優先する選択肢もあり。
日本でのキャリアが5〜8年ある人であれば、月額6万〜8万バーツあたりが現実的な出発点となります。
タイ語や英語を並行して学びながら、3〜5年のスパンでポジションアップを狙うのが、この年代のよくあるパターンです。
30代後半〜40代|専門性と交渉力が問われる
30代後半から40代になると、「何ができるか」の証明を強く求められます。
日本でのマネジメント経験や、特定業種での専門知識が武器になるのはこの年代から。
一方で、未経験職種や業種へのチャレンジは難しい年齢にもなってきます。
月額10万〜15万バーツを狙えるポジションに就くには、英語またはタイ語でのコミュニケーションがある程度できることに加え、「タイのビジネス環境でも即戦力になれる」という説明ができるかどうかが重要です。
このゾーンでは、給与交渉の質が待遇を大きく左右します。
50代以上|駐在か、現地採用のシニア枠か
50代以上になると、タイでの働き方の選択肢は少しずつ絞られてきます。
駐在員として赴任している場合は日本の報酬体系が続きますが、現地採用として新たにタイに来るケースでは、採用の門が狭まる企業も少なくありません。
ただし、特定の技術・知識・人脈を持つシニア人材は「顧問(アドバイザー)」「現地統括マネージャー」などのポジションで需要があります。
月額15万バーツ以上のポジションも存在しますが、そこに至るまでのキャリアと実績の積み上げが前提です。
給与交渉でよくある失敗と、押さえておくべきポイント
日本での給与をそのまま基準にしてしまう
タイに来る際、「日本で年収600万円だったから、同水準で交渉しよう」と考える人は少なくありません。
しかし、これは交渉の出発点としては機能しにくいです。
タイの物価や生活コストは日本と異なり、そのまま円換算した金額はタイの市場相場と大きくズレていることが多いからです。
交渉の軸は「タイの相場でどのくらいの水準が適正か」を把握した上で設定するのが基本です。
手取り額と控除を確認していない
オファー時の月額提示を鵜呑みにしてしまい、税控除後の手取りを確認しないまま入社するケースがあります。
タイには個人所得税(Income Tax:所得が増えるほど税率が上がる累進課税方式)があり、月給が高ければ高いほど税負担が増えていきます。
総支給10万バーツでオファーをもらった場合、実際の手取り額は8万バーツ台となるため、入社後最初の給与明細を見て驚いてしまうことでしょう。
入社前に「オファー額は総支給か、手取りか」を確認しておくことが必要です。
ビザ・ワークパーミット(労働許可証)費用の負担確認を怠る
タイで合法的に働くには「就労ビザ(Non-Immigrant B)」と「労働許可証(ワークパーミット)」の取得が必要です。
この費用を会社が全額負担するのか、個人負担になるのかは会社によって異なります。
取得費用は数万バーツになることもあるため、オファー時に確認しておきたい点のひとつです。
交渉時に使える現地相場の調べ方
給与交渉に臨む前に、現地相場をできる限り正確に把握しておきましょう。
以下の記事ではタイ就職成功のカギとして、求人市場の調査方法などをまとめています。
▶タイ就職・転職成功のカギ|求人市場の理解と効率の良い仕事の探し方
まとめ
タイで働く日本人の給与は、職種・年齢・雇用形態によって大きく異なります。
「タイは給与が低い」と思っている人もいますが、実際には専門性と交渉次第で十分な報酬を得られるポジションも多くあります。
大切なのは、タイの市場相場を正確に把握した上で、自分のスキルと経験をどう説明するか。
額面だけでなく、手取りや各種手当・控除を含めたトータルで比較する習慣もつけておきましょう。
給与水準を正確に知ることは、タイでのキャリアを設計するための第一歩になるはずです。
今回は職種や年齢別の給与や働き方についてご紹介しましたが、給与や控除に関する事は以下の記事でもまとめています。
興味のある方は以下の記事も併せてご覧ください。
▶タイの社会保険制度とは?概要・保険料・加入条件など徹底解説
▶タイ就職・転職成功のカギ|求人市場の理解と効率の良い仕事の探し方
タイワークラボ編集部

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