タイ就職前に知っておきたい!日本と違う給与の仕組み

タイ就職前に知っておきたい!日本と違う給与の仕組み

SNSなどで情報収集が簡単にできるようになった昨今、海外移住や海外就職はハードルの高いものではなくなりつつあります。これはタイ就職やタイ移住も、例外ではありません。

ネット上には魅力的な情報が溢れているため、誰でも簡単にタイ就職ができると思われがち。しかし、いざ就職となった場合に「失敗した」と後悔する人は少なくありません。

この明暗を分けるのは「本質的な情報収集ができているかどうか」。なかでも、タイで働く場合は労働者保護法や社会保障制度などの基本的な内容は理解しておく必要があります。

今回はタイ就職で知っておくべきことの中でも、誰しもが必ず関わる「給与の仕組み」について解説していきます。

日本との違いも話しながらわかりやすく解説しているので、タイ就職を目指す方の参考になれば嬉しいです。

タイの給与体系の基本|バーツ建て・相場・支払いサイクル

タイでの給与は原則としてタイバーツで支払われます。

日本円など、外貨での支払いは、あらかじめ労働者の同意がある場合にのみ認められており、現地採用の場合は基本的にバーツ建てで、例外については個人的には聞いたことがありません。

支払いサイクルは月1回が基本で、日本とほぼ同じです。(工場作業員などは月2回の場合あり)

気になる給与水準ですが、日本人がタイで就労するための最低賃金は、月給50,000バーツ(約25万円)とされています。
※BOI認定企業など一部では50,000バーツ以下が認められるケースあり。

現地採用の日本人の相場は経験・職種によって異なり、新卒・スタッフレベルで50,000〜60,000バーツ、マネージャーレベルで80,000バーツ以上が目安です。専門的な技術職や、経営層の場合は10万、20万を超えるケースも少なくありません。

タイの試用期間中の給与ルール|日本との違いと注意点

タイでは、多くの企業が「119日」を試用期間として設定しています。

タイの労働者保護法では、120日以上勤続した労働者を解雇する場合に解雇補償金の支払いが義務付けられているため、その直前の119日に設定するのが業界の慣習となっています。

給与については、試用期間中に本採用後よりも低い金額を設定すること自体は違法ではありません。しかし、試用期間中であっても日本人の最低賃金を下回ることは認められていないことを覚えておきましょう。
また、試用期間中の給与を低く設定する場合は、採用前に労働条件を明示し、本人の同意を得ることが必要です。
雇用契約書に記載がない場合は確認するようにしましょう。

日本との大きな違いとして、タイでは試用期間であっても「無期雇用の一部」とみなされます。
そのため、試用期間中の解雇にも事前の解雇通知が必要です。

「試用期間中はいつでも解雇できる」と誤解している会社側も結構多いので、就職前に理解しておくと安心です。

試用期間に関する詳細は以下の記事を参照してください。

【タイ労働法】試用期間なら簡単に解雇できる?誤解されやすいルールまとめ

タイの社会保険と所得税|日本より天引きが少ない理由

タイの給与は、総支給額から社会保険料(Social Security)と所得税(Income tax)が控除された金額が支給されます。

社会保険(Social Security)

タイにも日本と同様に社会保険制度があります。毎月の給与から5%が天引きされ、雇用主も同じく5%を拠出します。

ただし、計算のベースとなる月給の上限が17,500バーツに設定されているため、実際の天引き額の上限は月875バーツ(約4,375円)です。

日本人で月給が17,500バーツを下回るケースは無いので、日本人の社会保険料は事実上875バーツの固定。日本の社会保険料が給与の約15%(労使合計)に達するのと比べると、負担は格段に軽いです。

ただし注意点もあります。

タイの社会保険が適用できる医療機関はあらかじめ登録した指定病院に限られており、医療水準も日本と比べて高くはありません。

そのため多くの日系企業では、社会保険に加えて民間の団体医療保険に加入しており、日本語対応の私立病院でも使えるプランが用意されているケースもあります。

社会保険については以下の記事で徹底解説しています。併せてご覧ください。

タイの社会保険制度とは?概要・保険料・加入条件など徹底解説

所得税

タイの所得税は日本と同様の累進課税方式で、最大税率は35%です。

日本との違いとして、住民税に相当するものがない点が挙げられます。

また日本のような年末調整制度はなく、毎年1〜3月に個人で確定申告を行う必要があります(実務上は会社の経理が代行するケースも多いです)。

社会保険料の負担が少ない分、中程度の収入帯では日本より手取りが多くなるケースが珍しくありません。

一方で、住宅手当・医療手当・一時帰国費用なども課税対象となる場合があり、日本より課税対象が広い点には注意が必要です。

タイの有給休暇と各種手当|法定ラインと企業格差

有給休暇

タイの法定有給休暇は、1年勤務後に年間6日が基本。

日本の法定最低10日と比べると少ないですが、有給休暇の他に年30日の傷病休暇や年3日の用事休暇が付与されるため、実質日本よりも有給休暇数が多いことになります。

また試用期間中に有給が発生しないと思われがちですが、法律上は試用期間も勤続期間に含まれます。

日系企業では法定を上回る日数の付与や勤続期間に応じて休暇日数を増やすケース、試用期間後や入社半年程度で付与する会社なども多いです。

いつから付与されるのか、取得時は何日前に申請するのかなどは、入社時に確認しておくとよいでしょう。

各種手当

タイでは住宅手当・交通手当・医療手当などが給与とは別に支給されるケースが多く、これらが実質的な待遇の一部を形成しています。

特に日本人の場合は、外国人向けの民間医療保険や、場合によっては住宅手当が付くこともあります。

ただし、これらの手当は企業によって大きく異なるため、オファーレターや雇用契約書で内容をしっかり確認することが重要です。

「日本の常識」で手当があると思い込まず、明文化されているかどうかを必ずチェックしましょう。

外国人がタイで働くときの給与注意点|ビザ・最低賃金・二重課税

ワークパーミットと最低給与

タイで働くには就労ビザとワークパーミットの取得が必要です。

日本人の場合、ワークパーミットの取得要件として月給50,000バーツ以上が法律上定められています(BOI認定企業など一部例外あり)。

これを下回る求人は、外国人を合法的に雇用できない可能性があるため注意が必要です。

日本との二重課税と租税条約

タイに同一課税年度(1月〜12月)に180日以上滞在すると、タイ税法上の「居住者」となり、タイ国内で得た所得への課税が発生します。

日本とタイの間には租税条約が締結されており、二重課税を防ぐ仕組みがありますが、日本で給与の一部を受け取っている場合など状況によっては両国への申告が必要になることもあります。

駐在員と現地採用では扱いが異なる場合もあるため、税務処理については現地の会計事務所や専門家に相談するのが安心です。

まとめ

タイの給与の仕組みは、日本と似ている部分もありますが、細かい違いが多くあります。手取り面でも日本より有利なケースがある魅力的な就労先です。

しかし、「日本とは違う」という点を利用して知識の浅い日本人を騙し、安い賃金で雇用したり、適切な待遇を与えないという悪質な企業も無い訳ではありません。

法律上の取り決めや日本との違いを把握しておくことで、移住後・入社後のミスマッチを防ぐことに繋がります。事前にしっかり仕組みを理解したうえで、納得のいく条件で就職・転職できるよう準備を進めましょう。

今回は給与の仕組みに関するあらゆる要素を包括的に解説しましたが、以下の記事では今回の内容に関する事の深掘りもしています。
興味のある方は以下の記事も併せてご覧ください。

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タイワークラボ編集部

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